狂犬病予防接種率の低下|ひだまり動物病院吉祥寺-武蔵野、杉並、練馬

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狂犬病予防接種率の低下

2016年05月28日

春になったこの時期、集合注射や動物病院で狂犬病予防接種を受けた方も多いと思います。
しかし、国内の予防接種率は年々低下しています。
国内での感染が起きていない狂犬病清浄国にも関わらず、なぜ狂犬病予防接種が義務化されているのか疑問に思う方もいるかもしれません。
狂犬病予防接種がなぜ必要なのか改めて確認しておきましょう。

●狂犬病とは?
狂犬病は犬だけではなく、人を含む全ての哺乳類が感染します。
狂犬病を発症すると、治療法が無く100%死亡する恐ろしい病気です。
狂犬病ウイルスは感染動物の唾液中に含まれています。
そのため、感染動物に咬まれたり、傷口をなめられたりすることで感染してしまいます。
日本国内では、人は1956年、動物では1957年を最後に発生がありません。
しかし世界では、年間おおよそ5万5千人の人が亡くなっています。

●国内の接種率
1993年頃までは、99%以上の飼い犬が狂犬病予防接種を受けていました。
しかし、近年では接種率は減少し続けており2014年には71%となりました。
また、この割合は市区町村へ登録を済ませている飼い犬の接種率であり、未登録犬は含まれていません。未登録犬も含めると接種率は50%を切っているとも言われています。
狂犬病の流行を阻止できる接種率は70%とWHOが勧告していますが、この数字を大きく下回っています。
注射.png

●接種率低下の原因
60年近く国内での感染が起きていないため、撲滅した昔の病気だと思われがちです。
「日本にはない病気」「室内飼いで外へは出ない」「他の人や犬に噛みつくことはない」「副作用など体への負担をかけたくない」など様々な理由により狂犬病に対する危機意識の低下や予防接種の必要性を感じない飼い主さんが増えてしまったためだと思われます。

●なぜ狂犬病予防接種を受けなければいけないの?
<海外から侵入する恐れ>
狂犬病が世界中で発生している中、狂犬病清浄国と指定されている限られた国や地域もあります。
2013年7月現在で、農林水産大臣が指定している狂犬病の清浄国・地域はアイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムの6地域です。
日本も含めて、これらの国と地域はとても稀だと言えます。
しかし、2006年に海外で人が犬に咬まれ、帰国後狂犬病を発症し亡くなる事例が国内で起きています。輸入狂犬病と言われ、海外へ渡航する人が増えた現代では今後狂犬病が輸入されるリスクは高まります。
他にも、海外から輸入された荷物に野生動物が潜入している、来航してきた船に乗っている犬が不法に上陸する場合など、狂犬病に感染している動物が日本に入ってくる可能性もあります。
<犬から人への感染>
狂犬病の流行には「都市型流行」と「森林型流行」の2つのタイプがあります。
都市型流行はアジアで見られ、主な感染動物は犬です。
犬から人への感染例が多く発生し、狂犬病で亡くなっている5万5千人のうち3万人以上はアジア地域での死亡者と言われています。
森林型流行は欧米で見られ、感染動物はキツネやアライグマ、コウモリなどの野生動物です。
野生動物から人への感染例は少ないです。
伴侶動物である犬は普段の生活で人と接する機会が1番多く、狂犬病の流行国では犬が主なまん延源となっています。そのため日本では万が一狂犬病が侵入した場合に備えて犬を中心とした狂犬病対策が行われています。
噛みつく犬.png

●狂犬病の予防
<狂犬病予防法>
日本では狂犬病予防法により以下のことが義務付けられています。
・現在居住している市区町村へ飼い犬の登録をすること
➡所有者を明確にし、飼い犬がどこにどのくらい飼育されているのかを把握しておき、
万が一国内で狂犬病が発生した場合に迅速な対応をとるため
・年に1回の狂犬病予防接種を受けること
➡狂犬病発症を予防し、他の動物や人への感染防止のため
・鑑札と注射済票を飼い犬に装着させること
➡登録や狂犬病予防接種を受けたことを証明するための標識
装着されていれば、迷子になっても飼い主の元へ戻すことができる
<海外へ行く場合>
国内での発生が起きていないため、日本人は狂犬病に対して油断しがちです。
現在でも多くの国で狂犬病は発生しています。行先の国が狂犬病流行国かどうかを把握しておき、むやみに犬や猫、野生動物などに触れないようにしましょう。
もしも海外で動物に咬まれることがあれば早期に医療機関への受診が必要となります。

狂犬病清浄国として安心・安全な生活が続くためには愛犬への狂犬病予防接種が重要となります。狂犬病から命を守るために正しい知識を身につけ、予防を怠らないようにしましょう。