猫伝染性腹膜炎(FIP)|ひだまり動物病院吉祥寺-武蔵野、杉並、練馬

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猫伝染性腹膜炎(FIP)

現在、新型コロナ(COVID-19)が世界的に流行しています。
それに伴い、コロナウイルスについてのお問い合わせを多く頂くようになりました。
犬猫の臨床で出くわすのは、

『犬腸コロナウイルス(CCV)』
『猫腸コロナウイルス(FECV)』
『猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)』です。

これらは人畜共通感染症としての報告はなく(人と動物の間で感染はしない)、新型コロナ(COVID-19)とは別物です。

【猫伝染性腹膜炎(FIP)疑い、または発症している猫ちゃんの飼い主様へ】
※FIPの検査、治療に関して、詳しくはお電話、診察にてご相談ください。

犬腸コロナウイルス(CCV) / 猫腸コロナウイルス(FECV)

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比較的弱いウイルスです。
消化管に感染し、下痢や嘔吐の症状がみられます。
腸コロナウイルスに感染した犬の便などから、口や鼻に入ることで感染します。
症状は幼少期に出ることが多く、成犬・成猫は無症状で問題にならないことがほとんどです。
便のPCRにて検査が可能で、犬はワクチンがあります

猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)

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猫伝染性腹膜炎(FIP)という病気を引き起こします。
猫伝染性腹膜炎は致死率が高く(99~100%)、無治療の場合、ほとんどの子が亡くなってしまう病気です。
猫腸コロナウイルス(FECV)が体内で猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に変異するのではないかと言われています。

猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)は、糞尿、唾液、鼻分泌物に排泄され、口や鼻に入ることでも感染しますが、伝染性は低いです。
※FIPVのウイルス粒子は、乾燥した分泌物中で7週間以上生存しますが、日常使用されている消毒剤で不活化されます。

気道や消化管で増殖し、マクロファージという免疫細胞に感染します。
普通のウイルスは免疫細胞に食べられると失活するのですが、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)は免疫細胞に食べられても失活せず、むしろその中で増え、血流にのって全身へ感染が広がります。

※猫伝染性腹膜炎(FIP)はウェットタイプ、ドライタイプ、混合タイプに分類されます。

ウェットタイプ

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全身に広がったウイルスにより血管炎が起きると、血管から体液が漏れるため、胸水や腹水がたまり、ウエットタイプと呼ばれます。

ドライタイプ

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炎症細胞・ウイルスが腎臓や腸間膜リンパ節、脳神経などの臓器に塊(肉芽腫)を作った場合は、ドライタイプと呼ばれます。

ウェット・ドライ混合タイプ

腹水や胸水と肉芽が共存するのでウェット・ドライ混合タイプと呼ばれます。

【好発】
年齢に関係なく発症しますが、一般には3歳以下または10歳以上の猫が発症し、特に1歳未満の猫に多いです。

【症状】

  • 風邪症状(くしゃみ、鼻水など)を伴わない発熱
  • 食欲元気消失
  • 体重減少
  • お腹が大きくなる(腹水)
  • 呼吸が苦しい(胸水)
  • 眼の充血(ブドウ膜炎)
  • 粘膜の色が白い(貧血)
  • 皮膚・粘膜の色が黄色い・尿の色がオレンジ色(黄疸)
  • ふらつき(運動失調)
  • ボーっとする(意識障害)
  • 後ろ足に力が入らない(後肢麻痺)
  • けいれん

など

【診断】

  • PCR(腹水・胸水、血液、肉芽を針で刺して採取した細胞など)
  • 血液検査(TP、グロブリンの高値)
  • エコー(胸水・腹水、肉芽、腹膜炎の有無。その他の病気の除外)
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猫伝染性腹膜炎(FIP)に特徴的な、黄色く粘調度が高い腹水

※コロナウイルス抗体検査は、抗体を持っているかどうか(今までに猫コロナウイルス(FCoV)にかかったことがあるか)の診断となります。過去から今までの間に猫腸コロナウイルス(FECV)や猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)にかかったことがあるかの診断法であり、現在、猫伝染性腹膜炎(FIPV)に感染しているかの診断にはなりません。また、どちらも猫コロナウイルスであるため、抗体検査でどちらのウイルスにかかったかは診断できません。

【治療】
これまでにステロイド、一部の免疫抑制剤、インターフェロン、抗真菌薬などによる治療効果が報告されています。

新しい治療の選択ができます。お電話または診察でお問い合わせ下さい。

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