寄生虫シリーズ② マンソン裂頭条虫

<マンソン裂頭条虫>
マンソン裂頭条虫は条虫(サナダムシ)の仲間です。
イヌやネコなどの小腸に寄生します。ネコへの寄生例が多く、イヌでは比較的少ないようです。
世界的に広く分布し、日本でも各地に分布しています。マンソン裂頭条虫はカエルやヘビから感染するので田んぼの多い地域や郊外の地域は比較的に感染が都心部に比べて多いです。

・形態と生態
体長は0.6~1.5m、大きい物だと2.5mになることもあるようです。虫卵は茶褐色で左右対称ではなく、ラグビーボールのような形をしているのが特徴です。寄生されているイヌやネコの糞便中に排泄されます。

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寄生方法としては、
①糞便中に排泄された虫卵は水中で発育し、幼虫になります。
②幼虫はケンミジンコに摂取され、その体内で成長します。その後、カエルに寄生し、成長を続けます。
③寄生を受けているカエルを、イヌやネコが食べてしまうことで感染し、小腸内で成虫になります。
→「①へ戻る」となります。

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また、感染しているカエルをヘビや鳥が食べた場合、幼虫はヘビや鳥にも感染しますが成虫にはならずに、幼虫のままでとどまります。感染しているヘビや鳥をイヌやネコが食べても感染し、小腸内で成虫になります。
症状は下痢が主ですが、無症状のことも多いです。

・治療
治療はまず、駆虫を行い、下痢に対しての投薬を行います。しかし、通常は、とくに投薬を行わなくても寄生虫を駆除すれば、下痢は治まります。

・予防
予防としては、ネコやイヌにカエルやヘビを食べさせないことです。屋外に出ることが多いネコでは、難しいこともあるので、定期的に糞便検査を行うことが大切です。

・人への感染
マンソン裂頭条虫は人にも感染します。人への感染の多くは、感染しているカエルやヘビなどを生で食べることで感染します。その他にも井戸水などに含まれる感染しているケンミジンコを飲み込んで感染することもあります。人は幼虫を摂取すると、「マンソン孤虫症」を起こします。人に感染したマンソン裂頭条虫は、体内で成虫になることもありますが、多くは幼虫のままで問題を起こします。感染を受けると全身の倦怠感と発熱を起こします。
また、イヌやネコの糞便中に排泄された虫卵からは人に感染することはありません。

参考文献 犬・猫・エキゾチックペットの寄生虫ビジュアルガイド
イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科

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