犬猫の予防について ③ノミ

『犬猫の予防』というテーマで、今回は「ノミ」についてご紹介します。

ノミは体長1~3mmの褐色で体は縦に平たく、6本脚を持った昆虫です。また、強力な筋力を持つ後ろ脚で体長の約60倍の距離、約100倍もの高さを飛んで動物に寄生、吸血します。

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ノミの成虫だけが犬や猫に寄生し、雌雄ともに吸血します。吸血した雌のノミは卵を産み、卵から幼虫が孵化し、それが蛹となり、最終的に成虫が羽化します。羽化した成虫は、犬や猫が呼吸して出す二酸化炭素や熱を感知して、その動物に寄生します。

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次に、ノミがどこにいるかというと、部屋の四すみ、家具の下やすき間などの暗く湿ったところ、床やじゅうたん、ソファーやベッドの上など、愛犬・愛猫が多くの時間を過ごす場所などに多く見られます。
ノミにとっては暖かい室内の方がより繁殖に適していて、冬の間でも寄生~産卵をくり返すことがあります。
室外では、庭先の直射日光が当たらないところ、草むらや犬小屋の下などに多く見られます。
また、ノミは好適な環境がととのえば、驚異的な繁殖力をみせ、雌のノミ10匹がいれば、30日後にはノミの成虫が約2000匹に増殖し、同時に90000個以上の卵と10数万匹の幼虫を生み出すといわれています。

ノミは瓜実条虫(サナダムシ)を媒介し、犬や猫に下痢を引き起こします。また、ノミに対するアレルギーにより、皮膚炎をおこしたり、大量の寄生で子犬が貧血を起こしたりもします。
犬猫だけでなく、人にも被害をもたらし瓜実条虫の感染で下痢を起こしたり、ノミの刺咬により痒みを起こしたりもします。

では、ノミの感染があるかどうかのチェック方法ですが、犬・猫用のノミ取りぐしで被毛をすき、体毛や体表から赤黒色のフケ状の小さな塊が出てくれば、ノミの糞である可能性があります。実際にノミの糞かどうか確認するには、塊を濡れたティッシュの上に置いてみます。赤くにじんだらノミの糞です。赤くなるのは、ノミが摂取した血液が糞として排泄されるためで、赤血球が溶けることで赤い色になります。

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もし、ノミの寄生があった場合、衛生的な飼育を心がけていても、ノミの卵や幼虫、サナギなどをすべて駆除することは困難です。ノミの寄生・健康被害から愛犬・愛猫と飼い主さんのご家族を守るためには、環境対策と同時に、ノミの繁殖サイクルを断ってくれるノミ寄生予防薬の定期的な投与(定期駆虫)を含めた総合的なノミ対策が必要です。

参考文献
犬・猫・エキゾチックペットの寄生虫ビジュアルガイド インターズー
日本全薬工業株式会社「フロントラインプラス」

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