蚊について

だんだんと暖かい日が増えてきて、ワンちゃんネコちゃんのフィラリア症予防の季節がやってきました。
今回はフィラリア症について知っていただく前に、フィラリア症を媒介する蚊についてお話したいと思います。

蚊の種類と生態
日本国内で良く知られている蚊は、アカイエカ・チカイエカ・ヒトスジシマカの三種です。
<アカイエカ>
日本のイエカ属の代表的な種です。成虫の体長は約5.5mm。褐色(茶色)の蚊で夕方から夜にかけて、吸血を行います。寝ている時に蚊に起こされる時は多くの場合がこの蚊です。
北海道から九州まで分布しており、住宅地に多く見られます。飛距離は1kmほどです。
発生場所は、どぶや汚水だめ、用水路などの汚いところが多い。成虫で越冬を行い、寿命は1ヶ月から6ヶ月ととても長い。発生時期は5月中旬から11月下旬ごろまでです。
吸血対象は、人間はもちろんですが、鳥類を好み、特に家畜の鶏などを一番の標的にする傾向があります。
また、アカイエカは犬糸状虫症(フィラリア症)を媒介します。
フィラリア症の予防時期は5月から12月とアカイエカの発生時期と重なっていますが、天候や気温などの影響で感染開始日・終了日は大きく変わります。そのため、過去のデータから、感染期間を予測することは難しいので、投薬開始日・終了日は余裕をもって設定を行うことで、適正な投与・効果的な予防につながります。

<チカイエカ>
成虫の体長は約5mmで、形態的にアカイエカにとても似ていて、肉眼で見分けるのは困難です。
日本、ヨーロッパ、北アメリカなどに分布しています。チカイエカは、1度目の産卵を吸血せずに行うことができます。
ビルの地下の水溜りや水洗トイレの浄化槽などに発生することが多いです。低温に強く、2回目の産卵のために成虫で越冬します。

<ヒトスジシマカ>
ヤブカ属の中では最も代表的な種。
成虫の体長は約4.5mmで黒色に白色のしま模様が入っているのが特徴です。
日本では東北や関東に分布しています。飛距離は15~50mで人が近くに来たら刺します。昼から夕方にかけて吸血を行います。幼虫の生息場所は、やぶ、公園、墓地、用水路、空き缶、空き瓶など様々な所にいます。卵は乾燥に強く、落ち葉やコケなどに分散して産み付けます。卵で越冬します。ヒトスジシマカは、デング熱ウィルスの媒介者として有名です。

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蚊の餌・吸血
全ての蚊はオスもメスも長い口を持ち、通常の餌は、植物の蜜や果汁などの糖分を含む液体です。吸血を行うのは産卵をするメスのみで、オスは吸血を行いません。
吸血の際は、吸血をスムーズに行うために唾液を注入してから吸血を始めます。この唾液によって血液は固まることなく、吸血が行えます。
また、この唾液は人体にアレルギー反応を起こし、結果として痒みを生じます。

生活環
卵→幼虫→さなぎ→成虫と完全変態をします。
卵からさなぎまでの期間は種や温度によって変わります。アカイエカは25~30℃だと、10日ほどで卵から成虫になります。

蚊からの感染
蚊は血液を吸い取って痒みを生じさせる以外に、感染症の媒介者ともなります。
蚊が媒介する感染症として、人では日本脳炎やマラリア、ペットではフィラリアなどがあります。
最近では、ニュースなどでも大きく報じられたデング熱が有名です。

予防と対策
蚊は幼虫と成虫で生活する環境が異なるので、それぞれの対策が必要になります。
幼虫の場合は、幼虫が生息する水溜りをなくす・可能な限り作らないことが重要です。植木鉢や空き缶などの水溜りでも発育が可能なので、水が溜まるようなものは作らないようにすることが大切です。
成虫の場合、網戸やエアーカーテン、蚊帳などにより侵入を阻止する方法があります。
駆除方法としては、蚊取り線香や蚊取りリキッドなど使用したり、二酸化炭素などで蚊を誘引し捕まえる捕獲機、光で蚊を集め駆除をする電撃殺虫器などがあります。

参考文献 イラストでみる 犬の病気
小動物獣医学情報誌 SAC

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